地域に着目したワクチンを

当社について
琉球大学で培ってきた感染症研究ならびにワクチン研究成果を活用し、沖縄発の創薬系バイオベンチャー企業として、株式会社ジェクタス・イノベーターズを設立しました。
現在、ワクチン開発を柱に、抗体医薬開発、診断薬開発、アジュバント開発などの事業を展開しています。これらの事業は、感染症学、病原微生物学、免疫学、ワクチン学、タンパク質工学などの関連した学術領域から派生し、ワクチン開発を基本に、抗体、診断薬の開発へと導かれることから、全てを関連づけながら事業の幅を広げています。
ワクチンとは
免疫系は病原体などの侵入に対し、それを危険な外的シグナルと認識することで防御的に反応する生体の重要な役割を担っています。ですから、生体が何れ直面する危険な状態に対応できるよう、前もって免疫系を教育訓練しておけば、いざ本物の病原体や毒素が侵入してきても、それに対し適切に対処できるようになります。この免疫系の記憶力と自己・非自己を識別できる力を駆使して感染から身を守るために前もって使う薬がワクチンです。

これまでのほとんどのワクチンは、ウイルスや細菌あるいは病原体が産生する毒素などを無毒化や弱毒化してつくられてきました。すなわち、本物そっくりでしかも危険性を排除した病原体や毒素を免疫系に前もって見せておく(抗原提示といいます。)ことで、その形や性質を記憶させておき、本物の危険因子の襲来に備えるわけです。このようなワクチンは不活化ワクチンとか弱毒化ワクチンとよばれ、今でも大半のワクチンはこの部類に属します。

私たちの技術
しかし、1980年代のB型肝炎ワクチンの登場に端を発し、近年の子宮頸がん予防ワクチンなどは、病原体の一部だけを昆虫細胞や酵母などで作り出し、最終的な薬としています。この方法は動物用医薬品に適応され始めています。このように、現代のワクチン開発時代は、遺伝子工学期と称され、遺伝子組換え技術で作り出した様々なタンパク質性の製剤を医薬品とすることができるようになってきました。

弊社はこのような遺伝子操作技術・タンパク質工学的技術を駆使することで、新しいタイプのワクチン開発を進めています。しかし、病原体の一部を単に大腸菌や昆虫細胞などで作らせるだけでは、効果的なワクチン開発は困難です。ですから、免疫系が好んで記憶する形状や性質を理解し、ワクチン抗原そのものを人為的に改良する創意工夫が必要となります。これを「分子デザイン」と呼ぶことがあります。また、抗体(液性免疫)や細胞性免疫といった獲得免疫を効率よく惹起するためには、自然免疫系を動かすことが必須であることが現代免疫学の基本的な考え方です。ですから、分子デザインと同時に自然免疫系を活性化させる物質の開発もワクチン開発にとって重要な課題となります。この自然免疫系を活性化させる物質が、「アジュバント」とよばれるもので、一般的にはあまり聞きなれないものです。

これからのワクチン開発
このようなワクチンはまさに病原体や免疫系から学び、しかも病原体とは異なる要素も兼ね備えた分子デザインの成果物であるといえます。分子デザインされたワクチンは、厳密な意味では自然界に存在しませんが、免疫系が本来の病原体の一部だと勘違いし、認識する機能をもちます。ですから、免疫系が危ないと認識しつつ、実は全く危なくないものがいいワクチンの条件であるとも言えます。このようなワクチンを投与することは、まるで防災訓練のようなものでしょう。本気で危険を想定した訓練を実施しなければ、いざという時全く意味がありません。

今の私たちは、これまでの古典的なワクチンと新しいワクチンとが共存し、補てんし合いながら、ヒトや動物の健康を守る時代に生きています。そして、これから新しいタイプのワクチンがもっと多く開発される時代になるでしょう。
弊社はこのようなワクチンを取り巻く世界的動向の中で、その変貌を見守りつつ、しかもその変化をもたらすための一助となることを目指します。